FUJIROCK’10 1st/AUG MASSIVE ATTACK

音楽は、内面に作用するという意味でひとつだ。
その作用は感覚でも思考でもなんでもいい。個人内でなにかが生起する場合を音楽と呼ぶと思う。

しかしその先には少なくとも二種あって、それは日常を邪魔しないものと日常を変えるものだ。

そしてMASSIVE ATTACKの音楽は完全に後者だった。
更には全体主義に陥る可能性のある、陶酔をもたらす音楽だった。

時間を置いてみると、その陶酔は重低音のビートに依るところが相当に大きいが、
しかし、山中であれだけの音量を音割れさせず発するバンドはいないだろう。

気怠さ、無感覚、覚醒感など、現代において得られる感覚が、すべてパッケージングされて呈示されているような音楽。

Heligoland

しかし、政治的メッセージの強い演出も相俟って、もしかすると陶酔が勘違いを引き起こすかもしれない、
そんな感覚を胸に、私はもう動きたくない身体を引き摺って、苗場を後にしたのだった。

翌日の帰路の混乱など、予想だにせずに…

『教訓:フジに行くなら、往復の乗車券を買っておくべし』