硝子戸の中(うち) (岩波文庫)今日は私の情勢がおしなべて順調なはずであり、それに背反することの多い日でもあった。
私を浸食する無力感や、醜い感覚。この感覚を、照らし合わせるならば間違いと言われるだろうか。

私の出自、私の目指すところ、仕事に対する価値観、何を共有したいかということ。

共有できていた経験はないが、少なくともそのように信じることはできていた。

彼はおそらく、そのつまらなそうな顔を自覚してはいない。

不満を切り出す者が負け、というような風潮のもとで、私はそれについて黙る。

そして恐ろしいのは、同等のことを私は彼にしているであろうこと。

倦怠は、自己簡潔を指すのか。